至上最幸の恋
 昨日エリサが持ってきてくれたものと同じ香りではあるが、こちらのほうがより濃く感じられる。

「いい香りですね」
「あぁ、落ち着くな」
「さ、どうぞ」

 オレにティーカップを差し出して、エリサが微笑む。高級そうなティーセットだ。彼女は絵になるが、オッサンの自分が使うと違和感しかない。

 オレが飲むまで、エリサは自分のカップに口をつけようとしない。余計なことは考えずに、この味を楽しむことにするか。

 ティーカップにそっと口をつけて、香りとともに喉へ流し込む。腹の底から、じんわりと全身が温まるような感覚だ。至福の一杯とは、こういうものを言うのだろう。

「いかがですか?」
「やっぱり、淹れたてだと香りが濃くていいな。これはウマい」
「ああ、よかった! 喜んでいただけて、私も嬉しいです。ザッハトルテも、ぜひ召し上がってください」

 ティーセットと同じ柄の皿にのせられたザッハトルテの横には、ホイップが添えてある。とてつもなく甘いのではないかと思い、少し躊躇してしまった。

「ザッハトルテは少々甘味が強いかもしれないので、ホイップと一緒に召し上がってください。そのホイップにはお砂糖は入っていません」
 
 オレの戸惑いを感じたらしく、エリサが言った。そんなに顔に出ていたのか。
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