至上最幸の恋
 我に返ったエリサは、少し頬を赤らめながら再び席に着いた。よかった。どうやら嫌ではないらしい。

「交渉成立、だな」
「はい! 不束者ですが、よろしくお願いいたします!」

 少々堅苦しいが、これも彼女のキャラクターなのだろう。少女のような愛らしさと、淑女のしとやかさをあわせ持っている。これまで出会ったことのないタイプだ。

 これまで風景画ばかり描いてきたオレに、エリサのそういう魅力をどれだけ表現できるのか。自分を試してみたい気持ちもあった。

 ここにいられるのも、長くてあと1週間ほどだ。帰国するまでに、なにかを掴んでおきたい。

「さっそく明日から頼めるか? 学校が終わったあと、いつもの公園に来てくれると助かる」
「分かりました。あの、服装はどういたしましょうか?」
「いつも通りでいいよ。自然な姿が描きたいからな」
「はい!」

 嬉しそうに頷いて、エリサは紅茶を飲み干した。

 謝礼は無理だとしても、この店の支払いぐらいはすべきだよな。なかなかの金額ではあるが……2回ほど食事を抜くか。

 こっそり財布の中身を確認しようとトートバッグの口を開いたところで、ヴィンテージの包装紙が目に入った。

 危ない。また忘れるところだった。渡すなら、いましかないな。
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