至上最幸の恋
 その緊張した面持ちに、オレは思わず吹き出してしまった。

「な、なにか変でしたか?」
「いやいや、とりあえず座りなよ。まずは紅茶を飲んでリラックスしようぜ」

 笑いを堪えながら、横に座るように促した。

 やはり「モデル」という単語が、エリサに緊張感を与えているのだろう。こういう様子もかわいらしいが、彼女の最大の魅力は別にある。

「リラックス……してもよろしいのですか?」

 しおらしくベンチに座って、エリサが言った。

「オレが描きたいのは、エリサの自然な表情だからな。緊張が解けるまで少し話そうか。紅茶も飲みてぇし」
「はい、ご準備いたしますね!」

 そうそう、この表情だ。

 いそいそと紅茶を準備する様子を、カメラに収める。エリサは一瞬こちらを見たが、嬉しそうに微笑んで、カゴから魔法瓶を取り出した。

「今日も同じ茶葉か?」
「ええ。カフェの味には敵いませんが」
「高そうなティーカップもいいが、紙コップだと安心して味わえるな」
「まぁ」

 エリサがころころ笑う。冗談ではなく、本気なんだけどな。

「オレにとっては、ザッハトルテよりもこのクッキーのほうが絶品だよ。ほろ苦くて、何枚でも食べられる」
「ふふふ、ありがとうございます」

 どうやら、いい感じにほぐれてきたようだ。
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