至上最幸の恋
 しかし改めてよく見ても、本当に整った顔をしている。この美しさを描きたいと思うのは、画家の性なのか。

 紅茶を飲んでひと息つくエリサの横顔を、またカメラで切り取った。そしてスケッチブックと鉛筆を取り出す。

「少しの間、そのままで。視線は遠くに向けてくれ」
「分かりました」

 額の自然な丸み、すっと通った鼻筋、シャープなフェイスライン。どれをとっても完璧だ。

 長いまつ毛が、パタパタと動いた。そしてなにかを見つけたのか、エリサは少し目を見開く。
 その視線の先を追うと、鳥の姿があった。あれはシジュウカラか。

「ふふ、かわいい」

 呟いて、エリサが目を細める。ああ、いい表情だ。
 この造形美を、粗末な平面に落とし込んでしまっていいのだろうか。そんなことさえ思ってしまう。
 
「綺麗だな」
「ええ。シジュウカラの黒いネクタイ柄、素敵ですよね」
「そっちじゃなくてな」
「え?」

 エリサがこちらを振り向き、視線がぶつかる。
 息を呑むほど美しい瞳だ。この色を表現するには、どうしたらいいだろうか。銀鼠に……少し青も加える必要があるな。

「あ、あの……そんなに見つめられると、また緊張してしまいます」

 エリサの顔が真っ赤になっている。
 狼狽える彼女に構わず、しばらく無言で顔を凝視した。
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