至上最幸の恋
 展示されているほかの絵を眺めていると、創作意欲が刺激される。

 ここは日本画だけでなく、桂木さんが気に入ったものならジャンル問わず展示するらしく、さまざまな色が混ざり合って独特の空間を作り出していた。

「瑛士さん!」

 ギャラリーの入口から聞き覚えのある涼やかな声がして、思わず立ち上がる。

 美しいブロンド、陶器のような白い肌、そして透き通ったグレーの瞳。そこにいるのは、間違いなくエリサだった。

「エリサ、どうしてここに」
「もちろん、瑛士さんにお会いするためですわ!」

 すっかり大人の女性になったが、駆け寄ってくるその姿は、あのときのままだ。
 
「ほぉ、ふたりは知り合いだったのか」

 思わぬ再会に動揺していたが、桂木さんの穏やかな声で我に返る。
 そうか。絵を描いてほしいと依頼してきたのは、エリサだったのか。

「いや、知り合いというか……」
「運命の人です!」
「おい、話がややこしくなる」
「あ、そうですわね。ご挨拶もせずに失礼でしたわね」

 違うだろう、と止める間もなく、エリサはあの日と同じように一歩下がって頭を垂れた。

「桂木さま、ごきげんよう。そしてご無沙汰しております、瑛士さん」

 あぁ、やはり美しい。3年前の感情が、一気に蘇ってきた。
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