至上最幸の恋
 彼女の存在そのものが、オレの心を揺さぶる。そのことを、はっきりと思い出した。

「とりあえず座って話そうか。久しぶりの再会のようだし、積もる話もあるだろう」

 そう言って、桂木さんは入口に「CLOSE」の札を掛けて、ロールカーテンを下ろした。そして奥にいるスタッフへ飲み物を頼み、エリサの隣に腰掛ける。

 とりあえずオレはその向かいに座って、心を落ち着けるようにゆっくりと息を吐いた。

 エリサが目の前にいる。間違いなく、いる。
 彼女の絵を描きはじめた途端に再会するなんて、さすがに「運命」というものを信じそうになった。

「それで、君たちは古い付き合いなのかな?」
「3年前、私がウィーンに留学していたとき、旅行でいらしていた瑛士さんと知り合ったんです」

 桂木さんが切り出すと、エリサは目を輝かせて語り始めた。
 
 オレにひとめ惚れしたこと、ザッハトルテを食べたこと、そして絵のモデルになったこと。口を挟む暇もなく、3年前のことをすべて桂木さんに話した。

「瑛士さんに描いていただくのは、とても楽しかったです。でも、私が約束を破ってしまって……」

 エリサが泣きそうな表情で俯く。
 ちょうどスタッフから茶が運ばれてきたので、桂木さんに促されて、オレとエリサもひと口いただいた。
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