至上最幸の恋
 もしかして、これからは黒瀬さんがついてくださるようになるのかしら。高梨さんはチーフという立場だし、私のような新人につきっきりというわけにはいかないものね。

 そうだわ。お近づきの印に、クッキーを焼こうかしら。いろいろな種類を作っていけば、現場の方たちの差し入れにもなるし。

 よし。そうと決めたら、善は急げ。材料はあるはずだから、さっそく作りましょう。

「ママ! ちょっとキッチンを使ってもいいかしら?」

 自室から1階に下りて、リビングのソファで刺繍をしているママに声をかける。

「あら。さっきお夕飯を食べたばかりなのに、もうお腹が空いたの?」
「明日のお仕事でご一緒する方たちに、クッキーを差し入れしようと思って」
「まぁ、それはいいわね。でもこの時間から作るなんて、遅くならないかしら?」
「大丈夫よ。生地を休ませている間に、お風呂に入ったり明日の準備をするから」

 睡眠不足で撮影に挑むわけにはいかないから、段取りよく進めて、早く寝なくちゃ。あまり時間がかかるものは、やめておきましょう。

 シンプルなバタークッキーと、抹茶クッキーと、ココアクッキーあたりがいいかしら。

 ……そういえば、瑛士さんはココアクッキーがお好きだったわね。
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