【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
公爵様へと声が掛けられる。そこにいたのは、桃色のドレスを着た御令嬢。後ろで従者らしき者が、狼狽えている。
この令嬢はどなたなのかしら? ここは公爵家の敷地内。そんなに簡単に入れるものなのかしら。
そう思い公爵様へと顔を向けると、彼も予想外だったのか……表情を曇らせていた。という事は、誰かの独断で公爵家に入っているという事かしら?
後ろで控えていたマルセナも無表情ではあるが、視線は鋭い。彼女が表情に出すのは珍しい、そんな事を思いながら後ろにいたドリーへと私は視線を送った。
ドリーもわずかに眉を歪めている。そして公爵様へ向けて謝罪を述べた。
「大変申し訳ございません。私の不徳の致すところでございます」
ドリーは公爵家に代々仕えており、子爵位を賜っているのだそう。そんな彼が追い出せない……とすれば、伯爵家以上か。とはいえ、ここまでの無作法を許す貴族がいるのかしら? と考えていると、思い当たる節があった。
以前マルセナの授業を聞いた時に、末娘に甘い貴族がいると聞いたことがあるわね。その家はたしか――。
「ディロン伯爵令嬢、本日もお元気なことで」
公爵様が目を細めて彼女へと声をかける。やはりディロン伯爵令嬢だったのね。名前はエルシーだったかしら。
「はい! レオネル様の事、お待ちしておりましたの! それよりも、レオネル様? 私のこと、エルシーと呼んでくださいと言っているではありませんか!」
私は彼女の返答を聞いて首を傾げた。この方、公爵様の嫌味も分かっていないようね。伯爵家の末娘がそのようなお花畑思考で問題ないのかしら……いえ、このようなお考えだから前触れもなく押しかけてくるのね、と納得もした。
彼女は公爵様の腕を取ろうとする。まるで隣にいる私の事など全く見えていないかのようだ。
流石に公爵様に対して無礼よね、と私が思ったのと同時に、公爵様とディロン伯爵令嬢の間に衛兵が立った。
「あなた! 何故邪魔するのかしら?!」
まるで婚約者は私よ、と言わんばかりの表情で叫ぶ令嬢。すると公爵様が声を張り上げた。
「ディロン伯爵令嬢、あなたは私の婚約者ではない。それに、名で呼ぶ許可も出していないのだが。ディロン伯爵に抗議文を送らせていただこう」
抗議文と聞いて、目を丸くする令嬢。
「ですが、昔は色々とお話しさせていただいたではありませんか!」
何を急に? と言いたげな表情で彼女は首を捻っている。貴族は王国でも帝国でも政略結婚が多い。彼女はその事を知らないのだろうか。目の前で、「昔からお慕いしておりました」と笑って話す彼女。まるで公爵様が彼女に会えて喜ぶのが当たり前、と考えているかのよう。
どうしたらここまでの思考になるのかしら、と不思議に思っていると、公爵様が少しだけ声を荒げた。
「色々と、と言うが……君に懇願されて一度邸で話したくらいだろう。私の婚約者は幼少の頃から決まっていた」
彼が私を一瞥する。その仕草でやっと私が隣にいる事に気がついたらしい。彼女は一瞬目を見張ってから、私を睨みつけた。
「こんな女、レオネル様には相応しくありませんわ! 差別主義国の女ではありませんか! あなたも図々しいのね? 公爵様に取り入って帝国を裏切るつもりなのでしょう? 信用できませんわ! それなら、私と婚約した方がいいと思いますの」
この令嬢はどなたなのかしら? ここは公爵家の敷地内。そんなに簡単に入れるものなのかしら。
そう思い公爵様へと顔を向けると、彼も予想外だったのか……表情を曇らせていた。という事は、誰かの独断で公爵家に入っているという事かしら?
後ろで控えていたマルセナも無表情ではあるが、視線は鋭い。彼女が表情に出すのは珍しい、そんな事を思いながら後ろにいたドリーへと私は視線を送った。
ドリーもわずかに眉を歪めている。そして公爵様へ向けて謝罪を述べた。
「大変申し訳ございません。私の不徳の致すところでございます」
ドリーは公爵家に代々仕えており、子爵位を賜っているのだそう。そんな彼が追い出せない……とすれば、伯爵家以上か。とはいえ、ここまでの無作法を許す貴族がいるのかしら? と考えていると、思い当たる節があった。
以前マルセナの授業を聞いた時に、末娘に甘い貴族がいると聞いたことがあるわね。その家はたしか――。
「ディロン伯爵令嬢、本日もお元気なことで」
公爵様が目を細めて彼女へと声をかける。やはりディロン伯爵令嬢だったのね。名前はエルシーだったかしら。
「はい! レオネル様の事、お待ちしておりましたの! それよりも、レオネル様? 私のこと、エルシーと呼んでくださいと言っているではありませんか!」
私は彼女の返答を聞いて首を傾げた。この方、公爵様の嫌味も分かっていないようね。伯爵家の末娘がそのようなお花畑思考で問題ないのかしら……いえ、このようなお考えだから前触れもなく押しかけてくるのね、と納得もした。
彼女は公爵様の腕を取ろうとする。まるで隣にいる私の事など全く見えていないかのようだ。
流石に公爵様に対して無礼よね、と私が思ったのと同時に、公爵様とディロン伯爵令嬢の間に衛兵が立った。
「あなた! 何故邪魔するのかしら?!」
まるで婚約者は私よ、と言わんばかりの表情で叫ぶ令嬢。すると公爵様が声を張り上げた。
「ディロン伯爵令嬢、あなたは私の婚約者ではない。それに、名で呼ぶ許可も出していないのだが。ディロン伯爵に抗議文を送らせていただこう」
抗議文と聞いて、目を丸くする令嬢。
「ですが、昔は色々とお話しさせていただいたではありませんか!」
何を急に? と言いたげな表情で彼女は首を捻っている。貴族は王国でも帝国でも政略結婚が多い。彼女はその事を知らないのだろうか。目の前で、「昔からお慕いしておりました」と笑って話す彼女。まるで公爵様が彼女に会えて喜ぶのが当たり前、と考えているかのよう。
どうしたらここまでの思考になるのかしら、と不思議に思っていると、公爵様が少しだけ声を荒げた。
「色々と、と言うが……君に懇願されて一度邸で話したくらいだろう。私の婚約者は幼少の頃から決まっていた」
彼が私を一瞥する。その仕草でやっと私が隣にいる事に気がついたらしい。彼女は一瞬目を見張ってから、私を睨みつけた。
「こんな女、レオネル様には相応しくありませんわ! 差別主義国の女ではありませんか! あなたも図々しいのね? 公爵様に取り入って帝国を裏切るつもりなのでしょう? 信用できませんわ! それなら、私と婚約した方がいいと思いますの」