【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
「あら、お父様。お手紙ですか?」
エルシーは食堂で紙を熱心に確認している父、ディロン伯爵へと声をかけた。伯爵は娘の声だと気づくと、手紙を折りたたみながら話す。
「ああ、今動いている案件が順調に進んでいるからね。エルシーにはもう少し我慢してもらうことになるけれど、大丈夫だろう?」
「もちろんですわ!」
ガメス公爵の隣を歩めるのなら、エルシーはいつまでも待つつもりだった。隣国の……口も聞けない地味な女に、昔から想っていた彼を取られるなんて我慢ならない。
流石に帝国の皇女殿下との婚約であれば、彼女も口を噤んでいたけれど。何故ガメス公爵が敵国の女と婚約しなければならないのか、とエルシーは憤慨していた。
だったら、愛嬌があって可愛くて……顔立ちも母に似て美人だと言われる自分でもいいじゃないか。
そう伯爵へと告げれば、彼はエルシーの話をしっかりと聞いてくれた上で、「その夢を叶えようじゃないか」と約束してくれたのである。
今公爵家へ突撃していないのは、伯爵から止められているからだ。ガメス公爵の婚約者であるあの女と交渉をしているらしい。その邪魔をしてはならない、と言い付けられている。
彼女は何度も何度も……公爵の隣で腕を組む自分を夢見てきた。それなのに――。
公爵がタウンハウスに着いた、と伯爵家の手の者が伝えにきた時。
エルシーは、丁度着替えを終えた時だった。これは公爵家のタウンハウスを訪れるべきだという、神の思し召しだと感じた彼女は早足で公爵家に向かったのである。
公爵家にたどり着くと、慌ただしい隙を突いてエルシーは門の中へ入っていく。
既に玄関前には馬車があり、まさしくその時に公爵が一人で降りてきたのである。
馬車のステップを降りるだけではあるが、優雅で美しい仕草に釘付けになっていたエルシー。その後自分が手を取られて降りてくる姿を想像していると――。
公爵の視線はまだ馬車に留められていた。エルシーが首を傾げていると、公爵の手を取った者がいたのだ。
それがまさか、声の出せない婚約者だとは!
「エルシー?」
「……お父様、どうしました?」
彼女は我に返る。あの時のことを思い出してしまい、伯爵の言葉が耳から耳へと抜けていたようだ。
「エルシー、いい子だね。きちんとお前を公爵様の婚約者にしてあげるからね」
「ええ、お願いね! お父様!」
二人は楽しそうに笑った。
エルシーは食堂で紙を熱心に確認している父、ディロン伯爵へと声をかけた。伯爵は娘の声だと気づくと、手紙を折りたたみながら話す。
「ああ、今動いている案件が順調に進んでいるからね。エルシーにはもう少し我慢してもらうことになるけれど、大丈夫だろう?」
「もちろんですわ!」
ガメス公爵の隣を歩めるのなら、エルシーはいつまでも待つつもりだった。隣国の……口も聞けない地味な女に、昔から想っていた彼を取られるなんて我慢ならない。
流石に帝国の皇女殿下との婚約であれば、彼女も口を噤んでいたけれど。何故ガメス公爵が敵国の女と婚約しなければならないのか、とエルシーは憤慨していた。
だったら、愛嬌があって可愛くて……顔立ちも母に似て美人だと言われる自分でもいいじゃないか。
そう伯爵へと告げれば、彼はエルシーの話をしっかりと聞いてくれた上で、「その夢を叶えようじゃないか」と約束してくれたのである。
今公爵家へ突撃していないのは、伯爵から止められているからだ。ガメス公爵の婚約者であるあの女と交渉をしているらしい。その邪魔をしてはならない、と言い付けられている。
彼女は何度も何度も……公爵の隣で腕を組む自分を夢見てきた。それなのに――。
公爵がタウンハウスに着いた、と伯爵家の手の者が伝えにきた時。
エルシーは、丁度着替えを終えた時だった。これは公爵家のタウンハウスを訪れるべきだという、神の思し召しだと感じた彼女は早足で公爵家に向かったのである。
公爵家にたどり着くと、慌ただしい隙を突いてエルシーは門の中へ入っていく。
既に玄関前には馬車があり、まさしくその時に公爵が一人で降りてきたのである。
馬車のステップを降りるだけではあるが、優雅で美しい仕草に釘付けになっていたエルシー。その後自分が手を取られて降りてくる姿を想像していると――。
公爵の視線はまだ馬車に留められていた。エルシーが首を傾げていると、公爵の手を取った者がいたのだ。
それがまさか、声の出せない婚約者だとは!
「エルシー?」
「……お父様、どうしました?」
彼女は我に返る。あの時のことを思い出してしまい、伯爵の言葉が耳から耳へと抜けていたようだ。
「エルシー、いい子だね。きちんとお前を公爵様の婚約者にしてあげるからね」
「ええ、お願いね! お父様!」
二人は楽しそうに笑った。