【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
「……すまない。取り乱したせいで、話の順序が滅茶苦茶になってしまったな」
陛下は涙を拭った後、軽く咳払いをして気恥ずかしそうに笑う。
「そういえば、まだ正式に挨拶をしていなかったな。余は帝国を治める皇帝、ローランド・ソラル=クリフトン・インペリウスという」
私は立ち上がり、静かに会釈する。その後皇太子殿下、ユーイン殿下、最後に宰相閣下……コーディ・ニコルソン様と仰るらしいが、各々紹介をしていただき、宰相閣下主導で本題へと移ることになった。
宰相閣下は見覚えのある魔道具を取り出し、起動させる。そう、防音の魔道具だ。ちなみに後で聞いたところ、防音だけでなく幻惑の魔術も同時に展開できる特別製だった。
「それでは本題に入らせていただきます。来週の社交パーティでございますが、エスペランサ様は王家主催のパーティで王国信仰の者たちを炙り出す策が進められている件、すでにお聞き及びかと」
「はい」
そう返事をした私に、閣下は満足げに頷いた。
「現在、ディロン伯爵卿がエスペランサ様へ接触しているとの報告を受けております。伯爵卿はエスペランサ様を義妹のブレンダ様と誤認し、王国へと帰還させる算段を立てているようです」
私が公爵様へと話した内容は全て把握されているようだ。宰相閣下の話は続く。
「伯爵卿の計画の要は、社交パーティ内でエスペランサ様が公爵閣下とお離れになられた時でしょう。あらかじめ手配していた馬車を利用して伯爵家に向かい、数日匿ったのち……王国信仰の者たちの庇護を受けながら王国へと帰還させる段取りのようです」
「そして王国にたどり着いたエスペランサ嬢を見て、王国側は『条約違反だ』と挙兵。戦況を見て、王国信仰の者たちが帝国を裏切り王国へ付く。そうすれば帝国は混乱し、それに乗じて王国が帝国を属国に――という流れを伯爵卿は想定しているのでしょう」
皇太子殿下の言葉に全員が肯定の意を示す。その後ユーイン殿下は私を一瞥してから、肩をすくめた。
「そもそも前提条件が全く違いますし、この計画は確実に失敗するんですけどねぇ……」
「私たちは敵とみなした者たちには容赦するつもりはない。わざわざブレンダ嬢の正体が、エスペランサ嬢であることを伝える必要はないだろう」
「まあ、その通りですね」
皇太子殿下とユーイン殿下の仰る通りだ。敵に贈り物を渡す必要はない。二人の会話が止まると、宰相閣下は言葉を紡いだ。
「エスペランサ様には引き続き、変化の術を掛けた状態でパーティにも参加していただきます。そして伯爵卿の指示通りに動いていただきましょう。全てを終えた後、公爵閣下とエスペランサ様の婚約発表を行います。その際にエスペランサ様は魔法を使用していただくことはできるでしょうか?」
「魔法を……ですか?」
驚きで目を見張る。
「ええ。残念ながら、“王国出身のあなたが“魔法を使えない”という噂が、帝都の貴族たちの間で流れております。その発端は、王国信仰の者たちだと思われますが……ですから、確かにお示し願いたいのです。あなたが“帝国の血を引く、真なる魔術師”であることを」
陛下は涙を拭った後、軽く咳払いをして気恥ずかしそうに笑う。
「そういえば、まだ正式に挨拶をしていなかったな。余は帝国を治める皇帝、ローランド・ソラル=クリフトン・インペリウスという」
私は立ち上がり、静かに会釈する。その後皇太子殿下、ユーイン殿下、最後に宰相閣下……コーディ・ニコルソン様と仰るらしいが、各々紹介をしていただき、宰相閣下主導で本題へと移ることになった。
宰相閣下は見覚えのある魔道具を取り出し、起動させる。そう、防音の魔道具だ。ちなみに後で聞いたところ、防音だけでなく幻惑の魔術も同時に展開できる特別製だった。
「それでは本題に入らせていただきます。来週の社交パーティでございますが、エスペランサ様は王家主催のパーティで王国信仰の者たちを炙り出す策が進められている件、すでにお聞き及びかと」
「はい」
そう返事をした私に、閣下は満足げに頷いた。
「現在、ディロン伯爵卿がエスペランサ様へ接触しているとの報告を受けております。伯爵卿はエスペランサ様を義妹のブレンダ様と誤認し、王国へと帰還させる算段を立てているようです」
私が公爵様へと話した内容は全て把握されているようだ。宰相閣下の話は続く。
「伯爵卿の計画の要は、社交パーティ内でエスペランサ様が公爵閣下とお離れになられた時でしょう。あらかじめ手配していた馬車を利用して伯爵家に向かい、数日匿ったのち……王国信仰の者たちの庇護を受けながら王国へと帰還させる段取りのようです」
「そして王国にたどり着いたエスペランサ嬢を見て、王国側は『条約違反だ』と挙兵。戦況を見て、王国信仰の者たちが帝国を裏切り王国へ付く。そうすれば帝国は混乱し、それに乗じて王国が帝国を属国に――という流れを伯爵卿は想定しているのでしょう」
皇太子殿下の言葉に全員が肯定の意を示す。その後ユーイン殿下は私を一瞥してから、肩をすくめた。
「そもそも前提条件が全く違いますし、この計画は確実に失敗するんですけどねぇ……」
「私たちは敵とみなした者たちには容赦するつもりはない。わざわざブレンダ嬢の正体が、エスペランサ嬢であることを伝える必要はないだろう」
「まあ、その通りですね」
皇太子殿下とユーイン殿下の仰る通りだ。敵に贈り物を渡す必要はない。二人の会話が止まると、宰相閣下は言葉を紡いだ。
「エスペランサ様には引き続き、変化の術を掛けた状態でパーティにも参加していただきます。そして伯爵卿の指示通りに動いていただきましょう。全てを終えた後、公爵閣下とエスペランサ様の婚約発表を行います。その際にエスペランサ様は魔法を使用していただくことはできるでしょうか?」
「魔法を……ですか?」
驚きで目を見張る。
「ええ。残念ながら、“王国出身のあなたが“魔法を使えない”という噂が、帝都の貴族たちの間で流れております。その発端は、王国信仰の者たちだと思われますが……ですから、確かにお示し願いたいのです。あなたが“帝国の血を引く、真なる魔術師”であることを」