この夜の意味〜声にできない恋を隠したら、完全無欠な御曹司の本気スイッチ入りました〜(旧:RISKY〜不敵な御曹司との恋は避けるべき〜)
「僕のを貸してやりたいが、君に合うサイズがあるかどうか……」
「いえ!社長にそこまでしていただくのは…」
「じゃあこの格好でパーティーに出るのか?今のままじゃ、すぐに女だとバレるぞ」
女だとか男だとか、そんな括りに関心なんて持ったことがなかった。でも今は一瞬、からだに熱を帯びるような、そんな感覚になる。
「おい、聞いているのか?」
彼はこちらに向かって何か話している。でも私は感じたことのない、この気持ちを整理するだけで精一杯だ。
「もう時間もないから、とにかく向かうぞ」
彼のごつごつと骨ばった指は、いつから私の腕を掴んでいるのだろう?でも握られた指の力は決して強いわけではなく、人肌を感じるような優しい圧迫感だ。
そのままあれよあれよと車に乗せられ、それからずっとカーフィルムによって外との接触が遮断されている。どこに行くのかも分からないまま、ただただ走り続ける車に身体を預けることしかできない。彼は一体、どこに行こうとしているのだろうか?
社長はもうとっくに車から降りている。今いる場所がどこなのか、私にはさっぱり分からない。だが私までここから降りてしまっては、社長と一緒にいる瞬間を誰かに見られるかもしれない。というリスクだけは確かだ。
そんな触れられないドアも、彼は外から簡単に開けてくる。すると、おしゃれな街並みにぴったりな仕立て屋に飛び込んで入れるよう、始めから車体を寄せるように停めてあった。
「大丈夫だ。シャッターも下ろしてきたし、中にも誰もいない」
記者がどこかに潜んでいやしないか、前後左右くまなく目を配って、大きな一歩で店内へと入っていく。
ここは東条宗高のために洋服を仕立てている店らしい。意外にも中はこじんまりとしていて、インテリアも木材を使った温かみのあるものばかりだから、妙にホッとさせられる。
「本当に警戒心が強いんだな」
挙動不審な私の姿がよほど面白かったのか。そう言いながら、初めてほころんだ顔を見せる。
「僕たちに限ってそんな感情生まれるわけないのに。それでも、外からは違った見え方になるんだもんな。本当に不思議だ」
なぜか彼から一方的に否定されているようだが、そんなの私だってまっぴらごめんだ。全力で同意を重ねようと、言葉にも思わず熱が入ってしまう。
「もちろんです!私たちの間でそれだけは絶対にありえません!」
彼はそんな私の言葉を聞いているのか、いないのか。こちらを見向きともせず、たくさんのスーツがかかったハンガーラックから集中して選び取っている。
「ん?いま、僕に何か言った?」
彼にとっても、取り留めのない言葉なのだと理解し、私も何も聞いていなかったことにする。
「いえ、何にもないです」
「いえ!社長にそこまでしていただくのは…」
「じゃあこの格好でパーティーに出るのか?今のままじゃ、すぐに女だとバレるぞ」
女だとか男だとか、そんな括りに関心なんて持ったことがなかった。でも今は一瞬、からだに熱を帯びるような、そんな感覚になる。
「おい、聞いているのか?」
彼はこちらに向かって何か話している。でも私は感じたことのない、この気持ちを整理するだけで精一杯だ。
「もう時間もないから、とにかく向かうぞ」
彼のごつごつと骨ばった指は、いつから私の腕を掴んでいるのだろう?でも握られた指の力は決して強いわけではなく、人肌を感じるような優しい圧迫感だ。
そのままあれよあれよと車に乗せられ、それからずっとカーフィルムによって外との接触が遮断されている。どこに行くのかも分からないまま、ただただ走り続ける車に身体を預けることしかできない。彼は一体、どこに行こうとしているのだろうか?
社長はもうとっくに車から降りている。今いる場所がどこなのか、私にはさっぱり分からない。だが私までここから降りてしまっては、社長と一緒にいる瞬間を誰かに見られるかもしれない。というリスクだけは確かだ。
そんな触れられないドアも、彼は外から簡単に開けてくる。すると、おしゃれな街並みにぴったりな仕立て屋に飛び込んで入れるよう、始めから車体を寄せるように停めてあった。
「大丈夫だ。シャッターも下ろしてきたし、中にも誰もいない」
記者がどこかに潜んでいやしないか、前後左右くまなく目を配って、大きな一歩で店内へと入っていく。
ここは東条宗高のために洋服を仕立てている店らしい。意外にも中はこじんまりとしていて、インテリアも木材を使った温かみのあるものばかりだから、妙にホッとさせられる。
「本当に警戒心が強いんだな」
挙動不審な私の姿がよほど面白かったのか。そう言いながら、初めてほころんだ顔を見せる。
「僕たちに限ってそんな感情生まれるわけないのに。それでも、外からは違った見え方になるんだもんな。本当に不思議だ」
なぜか彼から一方的に否定されているようだが、そんなの私だってまっぴらごめんだ。全力で同意を重ねようと、言葉にも思わず熱が入ってしまう。
「もちろんです!私たちの間でそれだけは絶対にありえません!」
彼はそんな私の言葉を聞いているのか、いないのか。こちらを見向きともせず、たくさんのスーツがかかったハンガーラックから集中して選び取っている。
「ん?いま、僕に何か言った?」
彼にとっても、取り留めのない言葉なのだと理解し、私も何も聞いていなかったことにする。
「いえ、何にもないです」