この夜の意味〜声にできない恋を隠したら、完全無欠な御曹司の本気スイッチ入りました〜(旧:RISKY〜不敵な御曹司との恋は避けるべき〜)
ほら、やっぱり一番痛いところを突かれてしまった。だから私はここに来たくなかったんだ。最初からこうなることはわかっていたはずなのに。なぜ彼が絡むと、こんな簡単なリスクさえ避けることができないんだろう。
「覚えて…いたんですね」
「僕に言えないことなんでしょ?じゃあ、別に言わなくてもいい。もう何も聞かないし、君がそうしてほしいって言うのなら、知らないフリだって出来るから」
返ってきた言葉は予想の遥か上をいくもので、用意していた見苦しい言い訳たちも全てどこかに飛んでいってしまう。
「だからこれだけ教えてくれないか」
「な、なんですか?」
「本気で好きかもしれない相手が現れたら、僕はどうしたらいい?」
この流れで彼は何を思って、そんなことを聞いてくるのだろうか。彼の表情を今すぐにでも確認したい。
でも背後から感じる空気は、到底私には受け止めきれそうにないくらいに、切実なものだ。だから私は振り向くこともできずに、黙ってただその声に耳を貸す。
「じゃあ、元に戻れないまま、ひとり取り残された僕はどうしたらいい?」
今日の社長はやはりおかしい。心からの叫びのように、あまりにも必死な声で…。
今の私の姿を突きつけさえすれば、彼だってきっと冷静さを取り戻すだろう。きっと……そう信じて、後ろを振り返る。
「社長、何を言って……」
しまった。目の前にあるその眼差しを見て、一瞬でそう悟った。彼は、本気だ。今までのどこか冷めた目付きはもうそこにはなく、情熱的で悶えるようなその瞳は、愛する人の前で見せる眼差しそのものだ。
気を抜けばその熱に浮かされそうになるけれど、私は絶対にその目に応えることはできない。だから彼とぶつからないように、握られた手に目線の逃げ場をつくる。でもその腕の力も弱まるどころか、さらに強くなる一方だ。
「君の言いたいことは分かってる。僕だって、早く目を覚ましたいんだ」
「目を覚ますって、どういう……」
いつでも出ていけるように、それまでずっと入口から身体をずらそうとしなかった。なのに背中を支えていた「それ」がふわっと後ろから消えていく。
代わりに熱のこもった手のひらと凛々しい腕の起伏が、後頭部と背筋に伝わってくる。絶対に、この支えにだけは自分の身を任せてはいけない。
私は必死にその支えを跳ね除けようとするけれど、逃げる余地すらないくらいに隙間なく彼の腕の中に閉じ込められる。
彼の気持ちは、もはや私も理解できないほどに大きく膨らんでいた。息もできないほどに抱きしめるその腕の強さと、激しく脈打つ鼓動がそう訴える。
「少しだけ、少しだけで良いから…」
このまま彼の言葉に乗ってしまえば、本当に取り返しのつかないことになる。今はとにかく彼の暴走を止めなければと、私は何を言われても力いっぱいにもがいて、固い拘束から逃れようとする。
「僕をこんなにもおかしくさせておいて、今度はそっちから逃げようとするんだね」
ほら。またそうやって悲しそうな声で訴えてくる。
もちろん女を使って彼を落とすなんて、初めから計画にはなかった。なにせ自分にそんな魅力があるなんて、思ったこともなかったから。ましてや今の私は、女らしい格好なんてちっともしていないのに。
「分かりましたから。一旦離してください、ね?」
「無理だよ…」
「覚えて…いたんですね」
「僕に言えないことなんでしょ?じゃあ、別に言わなくてもいい。もう何も聞かないし、君がそうしてほしいって言うのなら、知らないフリだって出来るから」
返ってきた言葉は予想の遥か上をいくもので、用意していた見苦しい言い訳たちも全てどこかに飛んでいってしまう。
「だからこれだけ教えてくれないか」
「な、なんですか?」
「本気で好きかもしれない相手が現れたら、僕はどうしたらいい?」
この流れで彼は何を思って、そんなことを聞いてくるのだろうか。彼の表情を今すぐにでも確認したい。
でも背後から感じる空気は、到底私には受け止めきれそうにないくらいに、切実なものだ。だから私は振り向くこともできずに、黙ってただその声に耳を貸す。
「じゃあ、元に戻れないまま、ひとり取り残された僕はどうしたらいい?」
今日の社長はやはりおかしい。心からの叫びのように、あまりにも必死な声で…。
今の私の姿を突きつけさえすれば、彼だってきっと冷静さを取り戻すだろう。きっと……そう信じて、後ろを振り返る。
「社長、何を言って……」
しまった。目の前にあるその眼差しを見て、一瞬でそう悟った。彼は、本気だ。今までのどこか冷めた目付きはもうそこにはなく、情熱的で悶えるようなその瞳は、愛する人の前で見せる眼差しそのものだ。
気を抜けばその熱に浮かされそうになるけれど、私は絶対にその目に応えることはできない。だから彼とぶつからないように、握られた手に目線の逃げ場をつくる。でもその腕の力も弱まるどころか、さらに強くなる一方だ。
「君の言いたいことは分かってる。僕だって、早く目を覚ましたいんだ」
「目を覚ますって、どういう……」
いつでも出ていけるように、それまでずっと入口から身体をずらそうとしなかった。なのに背中を支えていた「それ」がふわっと後ろから消えていく。
代わりに熱のこもった手のひらと凛々しい腕の起伏が、後頭部と背筋に伝わってくる。絶対に、この支えにだけは自分の身を任せてはいけない。
私は必死にその支えを跳ね除けようとするけれど、逃げる余地すらないくらいに隙間なく彼の腕の中に閉じ込められる。
彼の気持ちは、もはや私も理解できないほどに大きく膨らんでいた。息もできないほどに抱きしめるその腕の強さと、激しく脈打つ鼓動がそう訴える。
「少しだけ、少しだけで良いから…」
このまま彼の言葉に乗ってしまえば、本当に取り返しのつかないことになる。今はとにかく彼の暴走を止めなければと、私は何を言われても力いっぱいにもがいて、固い拘束から逃れようとする。
「僕をこんなにもおかしくさせておいて、今度はそっちから逃げようとするんだね」
ほら。またそうやって悲しそうな声で訴えてくる。
もちろん女を使って彼を落とすなんて、初めから計画にはなかった。なにせ自分にそんな魅力があるなんて、思ったこともなかったから。ましてや今の私は、女らしい格好なんてちっともしていないのに。
「分かりましたから。一旦離してください、ね?」
「無理だよ…」