この夜の意味〜声にできない恋を隠したら、完全無欠な御曹司の本気スイッチ入りました〜(旧:RISKY〜不敵な御曹司との恋は避けるべき〜)
それ以上、もう何も言葉はいらない。まるで必死に守ってきた何かが音を立てて崩れるように、降り注ぐ水沫を全身に浴びながら、ただお互いが吸い寄せられるように背中にきつく腕を回し、唇と唇を貪り合う。

お互いの心に伺いを立てるように口先で確かめ合うキスは、もう私たちには必要ない。すんなりと隙間をつくると彼の舌は嬉しそうに私を見つけ、その蠢く舌に必死になって動きを合わせた。

あなたが好き。今はただ私たちの間にあるその事実だけに身を任せるように、遠慮もなく奥深くまで舌から伝わる刺激を求め合いたい。

「はあ…っ、はあ…っ、好きだよ……っ、はあ…っ、本当に、ん、っは……好きで好きでたまらない」

降りしきる温かな雨に晒されて、視界ははっきりとしないけど、きつくこわばっていたその目が、少しほころんだような気がした。なんて愛おしい眼差しなんだろう。きっとこれからは私ではない、あの人にその目が向けられるのだろうか。

好き……

私だって胸いっぱいにあるその声を言葉にして返してみたい。でも心のままに叫んだ言葉も結局は嘘になるのなら、今はせめて彼の頬に残る赤い傷跡を上書きするように、持て余した指先で拙く撫でてみる。

欲情にうなされて、彼の肌は蒸気するくらいに血の気を取り戻しているのがわかり、安堵から自然と目尻も下がってしまう。

「っん…はぁ……やっばいな....こんなに君でいっぱいなのに……っ、はあ...まだ好きになれちゃうんだ......」

口内は絶え間なく彼の舌で占領され、溺れそうなくらいに呼吸の自由はもう一つもない。でも息を継ぐ時間も惜しいくらいに、今は彼に自由を奪われていたい。そう、何も考えられないくらいに。だから私たちは、限界を超えると額と額を合わせながら、仕方なく互いの息を整える。

「はぁ……はぁ……本当だ…今日はちゃんと逃げなかったね」

もう受け止めてくれる人がいないあの夜とは違うと分かると、何かがぷっと音を立てて切れたように、雫が滴る前髪を荒っぽく掻き上げながら、壁際へと逃げ場がないくらいに追い詰めてくる。

水気を含んで重たくなった白シャツと、その下に着る同色のブラトップは、彼の手によってまとめて勢いよくたくしあげられ、膨らみというには忍びない私の小さな隆起が無防備に晒される。恥じらいなんてものは、もう私にはない。早く、一刻も早く、全身が彼でいっぱいなのだと感じてほしいから。

「ここ、ずっと取っておいたんだよ。君が僕を求めてくれる日まで」

彼の熱く潤んだ視線が、赤く膨張した頂だけを、じっと見つめている。まるで、今この瞬間だけは彼の目には私しか映っていないみたいで、それだけで胸がいっぱいになる。彼の息が胸を掠めるだけで、その先を期待するように身体が小さく跳ねた。

「ん?してほしい?」

「んぁ…っもう、わかってるくせに」

「ああ。その顔を待ってたよ、僕は」
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