恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「なに、明日生まれるって訳でもないし、腹の子を気にしてばかりいたら、カーラに仕事しろって怒られるだろうよ」

 冗談とも本気ともわからないことをいい、大口で笑うレスターは「それよりも」と呟くと、私の肩にぽんっと手を置いた。

「まだお姫さんを抱けないのか?」

 突然、話題を変えられ、それまでの思考が寸断された。

 全くこいつは、恥ずかしげもなく訊いてくる。学生の頃と変わらない調子は、息のつまりそうな辺境伯という立場を忘れさせてくれるが、毎度のごとく唐突だ。

「そう簡単に手を出せるものか」
「固く考えすぎはよくないぞ。俺らは三年もかかったんだ。そう簡単に子を授かるかも、わからんだろう」
「……長年お守りしてきたリリーステラ様だ。そう簡単に手を出せるか」
「思い続けて十五年だったか? よくもまあ、堪えたもんだと思うが、もう誰にも文句をいわれることのない立場になっただろう」
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