恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「そうだが……腕の中で震える姿を見ると、幼かったお姿を思い出し、手が止まってしまう」
「重症だな」

 ああ、自分でも重症だと思う。
 長年思い続け、去っていくものだと諦めていたところに降ってきた幸運だ。一つ間違えば失ってしまうのではないかと、不安になることもある。

 リリーは私と距離を縮めようとしてくれている。少しばかり、子を作らねばと気負っているのもわかる。クラレンス辺境伯家に馴染もうと、健気に頑張っているのもよく知っている。
 
 おそらく全て杞憂なのだろうが、それでも怖くなる。

「リリーは愛らしい。体の線も細く、腰など少し力を加えれば折れてしまいそうではないか」
「簡単に折れたりはしないと思うぞ?」
「それにリリーはとても柔らかく、潰してしまうかもしれない」
「まあ、その気持ちはわからんでもないが」
「──!? リリーに触ったというのか!?」

 カッとなってレスターを睨み据えると、その顔が引きつった。

「違う、違う! 俺だって、カーラを抱くときに潰しちまいそうって思っただけだ! なんでお前のお姫さんに手を出すなんてバカなことを考えなきゃいけないんだ。落ち着け!」
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