恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 怒鳴り返され、血が上った頭が少しだけ冷えた。
 レスターとは長い付き合いだ。そんな不誠実なことをする男ではないとわかっているが、リリーのこととなるとどうにも冷静さがかけてしまう。

「相変わらずの独占欲だな。そのくせ、奥手とか拗らせるのも大概にしとけよ」
「……そう簡単ではない」
「大切にするのもいいけど、遠慮していたら、どっからか横取りされても知らないぞ」
「横取り?」

 頷いたレスターは懐に手を差し込み、一通の手紙を机に置いた。

「兄貴から届いた情報だ。フェリクスが行方知らずとなっている」
「行方知らず……どういうことだ!?」
「貴族籍を剥奪されてしばらくは、女の家で世話になっていたようだけどな。まあ、その手紙を読んでくれ」

 女──ダイアナといったか。確か男爵家の娘であったな。リリーを見下す不躾な瞳を思い出すだけでも不愉快になる。二度と関わることはないと思っていたのだが、状況が変わったのか。

 手紙を開くと、そこには几帳面な文字であの二人のことが綴られていた。
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