恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 フェリクスが行方をくらませたのはもう何か月も前のこと。そのことに気付いたのは、ダイアナが宮廷貴族の屋敷に商人の妻として現れたと報告があってのことだった。

 綴られた文面に、指が震えた。
 フェリクスとは貴族籍を剥奪されたのちに結婚したが、その婚姻関係は一年と続かなかった。ダイアナは商人の男とともに逃げ、フェリクスは家を追い出されていたようだ。

 オーランド伯爵が許すのを待つことはできなかったということか。真実の愛などといいながら、所詮、財産目当てだったのだろう。

 リリーの心をあれほど傷つけたのだ。そう簡単に幸せになられては困るが──手紙の続きを読みすすむにつれ、顔が強張った。
 フェリクスは両親に助けを求めたが、オーランド伯爵はそれを受け入れなかったようだ。良識ある貴族であれば、当然だろう。一度、貴族籍を奪っておきながら家に戻すなど、到底あり得ない。

「……フェリクスの消息は掴めないのか?」
「ああ、兄貴はこっちに向かっているんじゃないかって心配している」

 確かに、手紙の終わりに用心するよう書いてある。
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