恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「……お姉様は、どんな物語がお好きなの?」
「そうね。恋愛を描いたものが好きだけど……最近は、冒険に出るお話も読むわ。先日、お友達から借りたのは、結婚から逃げ出して、新しい人生を手に入れる男装令嬢の恋物語だったのよ」
「結婚から逃げる? そんなことをしたら、大変なことになります! それも、男装だなんて」
「物語だから良いのよ。男として生きることを選んだ令嬢が、背中を預けた冒険者と落ちる恋。素敵でしょ?」
 
 私の十歳も年上とは思えない、まるで乙女のように目を輝かせるスカーレットお姉様は「今度貸してあげるわ」と言ってカップを持ち上げた。
 
 カップを傾ける姿はとても優雅で、完璧な淑女に見えるのに、意外な一面を見た気がする。
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