恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 今まで恋が描かれた本を、あまり読んでこなかった。

 だって、現実に恋が芽生えるとは思っていなかったし、恋物語にばかり憧れたら、希望が高くなってしまいそうだったから。

 でも、もっと恋物語を知っていたら、なにかが違ったのかしら。

 始まりもしないで終わったフェリクス様との恋を考えると、どうしようもなく胸が軋んだ。

 スカーレットお姉様を夢中にさせる恋物語……凄く気になるわ。
 結婚されたお姉様は、どうして恋物語を読みたいのかしら。
 今、恋をされているのか、それとも恋をしたいから読んでいるのか。

 恋というものがよく分かっていない私は、我慢できずに尋ねてみた。
 
「……お姉様は、お義兄様に恋をされましたか?」

 私の質問に少しだけ頬を染めたスカーレットお姉様は、カップを受け皿にへと静かに降ろした。

「旦那様とは政略結婚だけど、出会ってすぐに恋をしたわ……ふふっ、言葉にするのって恥ずかしいわね」

 恥ずかしそうに答えて下さったお姉様は、とてもキラキラとして可愛らしかった。
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