恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「フェリクスは魔術師としては優れていた。オーランドの跡取りだったこともあり、剣術の腕もある。そんな男が女に逃げられたんだ。なにをするか、わかったもんじゃないぞ」
「身から出た錆だろう」
「ああ、俺もそう思う。けどな、貴族籍を奪われたことを逆恨みしているかもしれないだろう?」

 確かに、あり得るな。
 あの男は思い込みも激しそうであった。真実の愛などといっておいて、女に逃げられたのだ。恥の上塗りもいいところだ。それを自分の責任と思えるようなら、こんなことにはなっていないだろう。

「……ますます、リリーを外には出せないな」
「そういうことだ。だから、さっさとやることやって、屋敷から出られないようにだな」
「それとこれは話が違う」
「アルフレッド、目が怖いぞ」

 俺に睨まれたレスターは顔を引きつらせた。
 収穫祭後、リリーを屋敷に引きとめる方法をまた考えなければいけないか。だが、それは根本的解決ではないな。

 何度目かわからないため息をついた時だった。ドアがノックされた。執務室へと迎え入れると、リリーがおずおずと顔を出した。
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