恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「リリー……」
「遺跡に行けないのは残念だけど、少しくらい待てるわよ。それにほら、今はお祭りの用意も忙しいし、カーラのことも気にしてあげないと!」

 なにを心配しているのかわからないけど、少しでも心配を拭えればと思って、つとめて明るく話しかけた。
 アルフレッドが遺跡に行くなら、本音はついて行きたいけど、それで邪魔になるのは本意ではないし。

「だから、もしも調査に行く必要があるなら、私に気にしないで行ってきて」

 精一杯の笑顔で、安心してもらえただろうか。
 祈るように胸の前で手を組んでいると、アルフレッドの喉がこくっと鳴った。

 なにをそんなに思い詰めているのか聞き出したい。
 だけど、そうやってメイドからヴァネッサ様の過去を聞き出して、私は後悔したんだもの。アルフレッドを傷つけないためにも、ここは、黙って待つしかないわよね。
 大丈夫よ。アルフレッドは私を裏切ったりしない。

 そうして、二人見つめ合っていたのは、ほんの一瞬だったかもしれない。だけど、アルフレッドの悩む姿を見ている一瞬は、凄い長い時間のように感じられた。
 
「リリー……聞いて欲しい話があります」
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