恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
あぁ、スカーレットお姉様は幸せなんだわ。
お姉様の笑顔を見ているだけで、胸の奥がじんわりと温かくなる。恋をすると、周りを幸せな気持ちにするのかもしれない。
だけど、胸の内には、そんな温かい気持ちが届かない昏い部分もある。
「どうしたの、リリー?」
押し黙った私を心配したのか、スカーレットお姉様は静かに立ち上がった。そうして、私が座るソファーの横、空いている箇所に腰を下ろして、手にそっと触れてきた。
温かくて柔らかな指先に胸が苦しくなる。
泣きたくなって、じわじわと目の前が滲み始めた。
「話してくれると嬉しいのだけど」
「その……最近、お友達に恋愛小説を借りました。でも、恋というのがよく分からなくて」
「恋がわからない?」
少し驚いたお姉様は、私の指をそっと握りしめた。