恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「大丈夫よ。この屋敷にいる限り、フェリクスが私に触れることは万に一つもないわ」
「そうですが……」
「それに行方知らずになってから、何か月も経っているんでしょ? ここまで来るのに路銀だってかかるわ。ご両親がお金を貸すとは思えないし……きっと、諦めたわよ」

 そうよ。いつまでも私に拘っても、フェリクスにいいことなんてないわ。
 フェリクスはダイアナにのめり込みすぎていただけで、頭が悪いわけじゃない。きちんと考えれば、自分がどうすればやり直せるか、見つけ出せる人だわ。魔術師としては最高クラスよ。剣術だって、ロスリーヴ侯爵様の教えを守って日々鍛錬を怠らずにいた。

「それに、ダイアナが離れたのだから、きっと、過ちに気付いてやり直そうとしているわ」

 思考を巡らせながら話していると、肩が強く抱きすくめられた。

「アルフレッド、どうしたの?」
「あんなに酷い裏切りをされても、あの男を信じているのですか?」
「──え?」
「あの男は、貴女を泣かせた。リリーの心を引き裂いたのですよ! 欠片も貴女を思っていなかった。そのような輩を、貴女は!」

 初めて怒鳴り声を聞いた。
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