恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「全てを失った男の恨みが、どこに向くかわからない。私に向くならそれでいい。あの男を手にかけるまでです」

 先ほどまでの荒らげた声とは違い、冷ややかな声が落ちてきた。
 手にかけると聞かされ、思わず、やめてといいかけた。

「リリーは優しすぎる……その優しさで、あの男を癒そうとするのではと考えてしまう……申し訳ありません。ただの醜い嫉妬です」

 アルフレッドの頬に寄せていた手に、大きな手が重なった。
 震えている。私が拒むんじゃないかと、不安を抱いているの?

「声を荒げて、申し訳ありませんでした」
「謝らないで! 私が、勘違いさせるようなことをいっちゃたのよ。私が悪いんだわ」
「いいえ、リリーはなにも悪くはないです。私の心が狭く」
「そんなことはないわ! いつだって私のことを考えてくれるアルフレッドに、私が甘えすぎていたのよ!」
「いいえ、むしろ私にもっと甘えて欲しく──」

 自分が悪いと言い合いながら、ふと顔を見合って、どちらからともなく笑い出した。
 私たちはなんて不毛なことをいい合っているんだろう。
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