恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 半ばパニックだった私はブランケットを放すと、驚きにアルフレッドを見上げた。
 大きな手が髪を撫で、額に唇が触れる。

「このままリリーを抱いていたいところですが、片付けなければならない仕事があるので」
「そう、なの……?」
「ガッカリしましたか?」
「──!? そ、そんなことはないわ。お仕事は大切よ!」

 そうよ。私だって今日は、ヴァネッサ様と刺繍をする約束をしているのだから、いつまでもベッドにいるわけにはいかな。もさもさしていたら、朝食だって待たせてしまうわ。

「私も起きるわ!」

 体を起こそうとすると、アルフレッドは私を腕の中へと引っ張りこんだ。

「アルフレッド?」
「今日もたくさん、笑顔ですごしてくださいね」
「それって──!?」

 夜にキスをするって話かと問いかけようとした私の口は、アルフレッドのしっとりとした唇に塞がれた。啄むようなキスが、ちゅっと音を立てる。何度か繰り返されたキスは最後、下唇を吸い上げて離れていった。
 昨夜のことを思い出させるような口づけに身体が痺れた。

「……アルフレッドがこんなエッチだったなんて、知らなかったわ」
「これでも男ですから」
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