恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
少し浮かんだ涙を指先で拭い、刺繍針に手を伸ばした時だった。
「エリック……私の息子たちにも、同じように焦ることはないといえばよかったわね」
少し寂しそうにヴァネッサ様が呟いた。
びっくりして顔を上げた先には、穏やかな微笑みがある。
「少し、昔話をしてもいいかしら?」
「……はい」
「ありがとう。いつ貴女に話そうか悩んでいたのよ。……早くにこの世を去った息子、エリックとその妻となった娘は子を授からなくて……追い詰めてしまったの」
返す言葉が見つからなかった。
どういうことだろうかと思いながら黙って耳を傾けていると、ヴァネッサ様は私の手を握ったまま静かに語った。
「無意識に期待をかけ、早く孫を抱きたいって、結婚早々に急かしてしまったの……ダメな母だったわ」
「で、でも……貴族の娘はそれもお役目の内です」
「そうね。だけど、急かしてどうとなるものでもないわ。臆病な二人が少しずつ歩み寄るのを待つべきだったの」
「臆病な二人……」
「エリック……私の息子たちにも、同じように焦ることはないといえばよかったわね」
少し寂しそうにヴァネッサ様が呟いた。
びっくりして顔を上げた先には、穏やかな微笑みがある。
「少し、昔話をしてもいいかしら?」
「……はい」
「ありがとう。いつ貴女に話そうか悩んでいたのよ。……早くにこの世を去った息子、エリックとその妻となった娘は子を授からなくて……追い詰めてしまったの」
返す言葉が見つからなかった。
どういうことだろうかと思いながら黙って耳を傾けていると、ヴァネッサ様は私の手を握ったまま静かに語った。
「無意識に期待をかけ、早く孫を抱きたいって、結婚早々に急かしてしまったの……ダメな母だったわ」
「で、でも……貴族の娘はそれもお役目の内です」
「そうね。だけど、急かしてどうとなるものでもないわ。臆病な二人が少しずつ歩み寄るのを待つべきだったの」
「臆病な二人……」