恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「嫁いできた娘は、私のように強くはなかった。それに気づいたのは、エリックの葬儀の時よ。あの娘は涙一つ流さなかったわ。そうして、私に『お世話になりました』といったの」

 エリックを失った悲しみをいうでもなく、子を授からなかったことを謝るのでもなく、ただ静かに結婚の解消を告げられた。──淡々と語るヴァネッサ様だけど、当時の悲しみは言葉で言い尽くせないに違いない。

「自分が浅はかだったと後悔したわ。だから、アルフレッドと貴女が仲を深めるまで、見守ろうと思っていたの」
「だから、ご子息の話を私にされなかったのですね……」
「ええ……カーラから聞いたわ。メイドたちに、エリックが生まれるまでのことを聞いたのでしょ?」

 ドキッと鼓動が跳ね、思わずヴァネッサ様の手を強く握りしめてしまった。すると、握り合った手に、もう片方の手が重ねられた。

「長いこと打ち明けられなかった私を、許してくれるかしら」
「──!? そ、そんな……探るようなことをしたのは、私なのに」
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