恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「秘密にされたら知りたくなるのは当然のことよ。こんなに年をとっても、失うことが怖いのね……貴女とアルフレッドが私から離れていくのが怖かったのよ」
「ヴァネッサ様……あ、あの!」

 もう片手を重ねられた手に寄せる。

「……おばあ様とお呼びしてよろしいでしょうか?」

 勇気を出して尋ねた。
 まだ子を授かっていなくても、私はアルフレッドの妻だと認めてもらえているんだと、ヴァネッサ様に家族だと思ってもらえているんだと信じたかった。

「もちろんよ、リリー!」

 手を握り合った私たちの瞳から涙が零れ落ちた。
 そうして笑い合って涙を拭っていると、お茶の用意を終えたカーラが戻ってきた。泣きながら笑っている私たちを、彼女は少し微笑んで「ようございました」と呟いた。

 三人でお茶を飲みながら、カーラの生まれてくる赤ん坊の産着を縫いましょう、なんて話をしていた時だった。
 扉が叩かれ、厳しい表情をしたアルフレッドが訪れた。

「怖い顔をして、どうしたのですか?」

 静かに尋ねたヴァネッサ様は、カップを受け皿に戻した。
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