恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「お祖母様、これからアデルノアへ行って参ります」
「ずいぶんと急ですこと。なにがあったのですか?」
「以前、リリーを連れて調査に赴いた遺跡を覚えていますか?」
「ええ、それは……アデルノアの森を抜けた先にある湖の側にある塔ですね」
「そこで大量の魔物が発生しました」

 アルフレッドの淡々とした報告に驚き、持っていたカップの紅茶がとぷんっと揺れた。

「近隣に被害が出始めているとの報告がありました。先遣隊を向かわせていますが、私もこれから──」
「私も行きます!」

 カップを受け皿に戻しながら立ち上がり、アルフレッドに駆け寄った。

「リリー……危ないから、屋敷で待っていなさい」
「嫌よ! もしも、もしも……」

 脳裏に嫌な想像が浮かび、涙を流すヴァネッサ様の顔が浮かんだ。
 やっと家族になれるというのに。まだ子を授かっていないというのに。もしものことが起きたら、きっと、私は……

「待っているだけなんて嫌! アルフレッドの側にいるって決めたの。お願い、連れていって!」
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