恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 なにが起きているのかわからずにいると、足が地面についたような気がした。それに、風を感じる。
 スカートがバサバサと翻って音を立てた。

「目を開けて大丈夫ですよ」

 そっと瞼を上げると、目の前に森が広がっていた。

「ここって……」
「アデルノアの森です。近くの街まで歩きますが、大丈夫ですか?」
「……平気よ。急ぎましょう!」

 歩きやすいブーツに履き替えてきてよかったと思いながら、近くの街へと続く街道を歩いた。
 心に余裕がなかったからだろうか。歩きながら、背にした森からよからぬ気配を感じた。
 誰かにじっと見つめられているようで気味が悪い。

 時折、アルフレッドが私の様子を不安そうに見たけど、大丈夫と繰り返し笑った。そうすることで、気持ちを奮い立たせていた。

 壁に囲まれた街に到着すると、重い門が上がった。
 出迎えてくれたのはレスターさんだった。ここ数日、姿を見せないと思ったら、アデルノアに来ていたのね。
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