恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 そうして辿り着いたのは、街の奥にあるお屋敷だった。

 案内された部屋で待っていたのは、一人の老人だった。ヴァネッサ様よりも年配で、ふさふさの白い髭を蓄えている。

「長老、領主様をお連れいたしました」

 レスターさんの声に頷いた長老は、私たちに椅子を勧めてくれた。そうして、アルフレッドと私を交互に見ると何度か頷いた。

「従者の方が届けられたこちらの書は、領主様のもので間違いありませんか?」
「それは、クラレンス辺境伯家の書庫で妻が見つけたものだ」
「左様でございますか。奥様は、ご一緒の方で?」
「そうだが」
「なるほど、奥様の魔力が本を引き合わせたのかもしれませんな」

 不思議な物言いをした長老は、それから淡々とアデルノアにある遺跡、枯れたと思われていた塔について語ってくれた。

「奥様、遺跡には宝があるのはご存知ですか?」
「貴重な魔石や鉱石のことでしょうか?」
「そうでございます。それらは遺跡に潜む魔物から生まれます。また、遺跡は魔物を引き寄せ力をもち、時に魔物を生み出します」
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