恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 引き寄せるという言葉で、アデルノアに魔物が増えている原因がやはりあの塔にあるのだと確信した。
 息を呑んで話に耳を傾けていると、アルフレッドが口を開いた。

「枯れていたと思われていた塔が動き出したということは、魔核が残っているということか」
「……魔核は動いております。しかし、あれは魔物を生み出したり、集めるものではありません」

 静かな返事に、誰もが理解を示せなかった。
 遺跡には様々なものがある。確かに、魔物を遠ざけたり癒しの力を蓄えるものもあるけど、でも、あの塔のすぐ側に魔物が集まってきているのよ。

「領主様からお預かりした本に書かれていたことは、私が幼き頃、祖父から伝え聞いたことです。その祖父もまた、祖父から伝え聞いたそうです」

 長老は淡々と悲しい伝承を語り始めた。

 アデルノアには生贄の風習があった。
 森の中にそびえ立つ塔に魔力が満ちている時、その力により凶悪な魔物は去り森が豊かになると信じられ、「塔のてっぺんを暗雲が覆ったなら、生贄を捧げよ」と実しやかに伝えれてきた。
< 163 / 194 >

この作品をシェア

pagetop