恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 ある娘が生贄に選ばれた時、それに異を唱える男が現れた。
 娘と恋仲になっていた男はよそ者で、数か月前にアデルノアに辿り着いた旅人だった。
 生贄になる必要はないといいはる男は、娘を夜遅くに連れ出して「逃げよう」といった。しかし、どこの道にも見張りがいる。唯一、抜け出せそうなのは森に通じる道だった。

 娘の手を引いて森に向かった男だったが、すぐに見つかり追手が迫った。
 どうにか娘を逃がしたい一心で、男は娘に先に進むようにいった。自分は追手を誤魔化してくるから、あとで落ち合おうと。そうして、森を東に進んだところに教会があるから、そこで待つようにいった。
 娘を逃がした男は、どうにか追手を撒いて約束の教会に向かったが、そこに娘はいなかった。
 森で迷子になっているのかと捜し歩いても、ついに出会うことはなかった。

「これが最後の乙女の物語でございます。娘はどういうわけか、自ら塔に入っていったそうです。娘と男を探していた村人の一人が目撃しています」
< 164 / 194 >

この作品をシェア

pagetop