恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 つまり、娘は自ら生贄の道を選んだということかしら。

「……最後の乙女って、どういうことですか?」
「その数年後、塔の仕組みが解明されたのです。男は、各地の遺跡を解明する旅の魔術師だったそうです」
「だから、生贄なんて無駄だと知っていたのね」
「左様にございます。塔に暗雲が立ち込めるのは、魔核の力が弱っている証。しかし、そこに適量の魔力を注げば再び塔は安定する。ただそれだけと知った我らが祖先は、生贄としてしまった娘たちに祈りを捧げ、魔力を注ぐようになりました」

 おそらく、生贄となってきた人たちは魔力を多く保有していた若い子が選ばれていたのだろう。
 想像するだけで悲しく、胸が痛んだ。
 もしかしたら塔で私を突き落としたのは、あそこで死んでいった乙女だったのかもしれない。

「あの塔は魔物を生みません。私たちにすれば、弔いの塔。枯れたと思われ近づく者が現れない方が、都合がよかったのです」
「だから、枯れたことにしていたということか」
< 165 / 194 >

この作品をシェア

pagetop