恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
もしもそうだとして、それがなぜ今なのかしら。やっぱり、別の誰かが──もやもやと考えていると、アルフレッドが低く「あり得ん」と、はっきり否定した。
「何十年、下手をすれば何百年前かわからぬ恨みが今さら表に出るか?」
「それは……」
「今生きている誰かが手を加えた。そう考えた方が自然だ。──レスター、もう一度塔へ向かう」
席を立ったアルフレッドは、私の肩に手を置いた。
「リリーはこのまま、こちらで」
「私も行きます!」
「しかし、森には魔狼もいます」
「行きます!」
勢いよく立ち上がれば、ガタンっと椅子が大きな音を立てた。
深く息を吸うアルフレッドは、ゆっくり被りを振る。
「置いて行っても、追いかけるから」
「……どうして貴女はそう……わかりました。絶対に、離れないで下さい」
私の手を取ったアルフレッドの顔に微笑みはなかった。だけど、しっかりと握られた手から、彼の気持ちが伝わってくる。それに応えるよう、手を握り返して「ありがとう」といった時だった。
「奥様が森を抜けるのは大変でございましょう」
「何十年、下手をすれば何百年前かわからぬ恨みが今さら表に出るか?」
「それは……」
「今生きている誰かが手を加えた。そう考えた方が自然だ。──レスター、もう一度塔へ向かう」
席を立ったアルフレッドは、私の肩に手を置いた。
「リリーはこのまま、こちらで」
「私も行きます!」
「しかし、森には魔狼もいます」
「行きます!」
勢いよく立ち上がれば、ガタンっと椅子が大きな音を立てた。
深く息を吸うアルフレッドは、ゆっくり被りを振る。
「置いて行っても、追いかけるから」
「……どうして貴女はそう……わかりました。絶対に、離れないで下さい」
私の手を取ったアルフレッドの顔に微笑みはなかった。だけど、しっかりと握られた手から、彼の気持ちが伝わってくる。それに応えるよう、手を握り返して「ありがとう」といった時だった。
「奥様が森を抜けるのは大変でございましょう」