恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 恥ずかしさで訴えると、長老が「それでよよろしいのですよ」といって近づいてきた。

「……どういうこと?」
「一人しか進めないというのはなにで判断するか」

 突然の問いかけに、間近になったアルフレッドの顔を見ながら少し首を傾げた。

「それは……目で見るとか」
「扉に目がついている訳ではないので、考えられる判断基準は音でしょう」
「……音?」
「魔力の質量でも判断は可能ですが、あえてそうはしなかったのでしょう」
「どういうこと? 全く理解ができないのだけど」
「扉の向こうを進む足音が一つであれば、魔法陣が発動するしくみなのでしょう。魔力より音の感知の方が、消費魔力は少ないですから」

 アルフレッドの推察を聞き、なるほどと頷いていると、長老が楽しそうに声を上げて笑った。

「新しい領主様はなかなか知恵の働くお方だ」
「この道はやけに音が響く。わざとそう作られたなら音を響かせるのに、理由が必要だ」
「理解が速くて助かりますな。──奥様、手のひらをお出しください」

 なにかと思って手を差し出すと、スタンプのようなものを押し付けられた。
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