恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 確かに、フェリクスとは二度と会うつもりがなかった。でも、彼が不幸になることを望んだわけじゃない。聡明だった彼なら、きちんと過ちに気付いてくれると思っていたのよ。そうすれば、オーランド伯爵だって許してくれるだろうと。
 二度と道が交わることはなくとも、ダイアナと力を合わせて幸せになってくれればそれでよかったのに。

 言葉を探していると、アルフレッドが「話しにならないな」とため息をついた。すると、フェリクスは女性の胸から顔を離し「だけど」と呟いた。

「それはここにくるまでのことだよ、リリーステラ」
 
 優しい声音で睦言を囁くように告げられた言葉は、膝の上の女性に向けていっているようだった。

「……フェリクス?」
「朽ちた塔の窓から外を眺める君を見て、全部わかったんだ。ああ、君も騙されていたのかって。寂しい思いをしていたんだろう」
「なにをいっているの?」
「なにもいわなくていい。わかっているよ……君も寂しかったんだろう?」

 全く話がかみ合っていない。彼はさっきから、誰と話しているの?
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