恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 アルフレッドは咄嗟に後方へと飛びのき、苦々しい顔で「抗うか」と呟いた。

 支柱のような影が幾本も、彼らを囲っている。まるで鳥かごのようだ。

「……フェリクスを守っているの?」
 
 確信はなかった。だけど、幻影がアルフレッドや私を襲う様子はないし、もしかしたらと思ったのよ。
 幻影が私を見た。
 何かを訴えているような眼は、すいと横に視線をずらす。釣られて見ると、アルフレッドの目の前にいくつもの銀の輝きが浮かんでいた。クルミほどのそれは、まるで夜空に輝く星のようだ。

「アルフレッド、待って、待ってちょうだい!」

 私が止めるのと、アルフレッドの手が振り上げられたのは、どちらが早かったのだろう。
 星の輝きが放たれ、黒光りする支柱が音を立てて砕けた。

 魔力のぶつかりで風が巻き上がる。

「やめて、アルフレッド! 違う。違うのよ!!」

 再び銀の輝きを浮かび上がらせるその腕に飛びつくと、その指先がひくりと動いた。
 困惑の眼差しを向けたアルフレッドが「何が違うのですか?」と尋ねた。
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