恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 話がまとまった頃、外はすっかり日が暮れていた。
 案内された客間の窓辺から眺めた街は静寂に包まれ、夜空には星々が輝いている。

「一泊することになったね。おばあ様、心配してるかしら」
「そうですね。ですが、明日に戻れば一泊で済んでよかったと思ってくれるでしょう」

 塔で私を怒った時とは違い、すっかり、いつもの丁寧口調に戻ってしまっている。それがちょっと寂しいような、嬉しいような気持になる。

「……留まる予定だったの?」
「魔狼の数次第では、そのつもりでした。先遣隊で対応できる数とわかりましたし、安心してレスターに任せられます」

 レスターさんの率いる先遣隊なら心配はいらないのだろうけど、カーラのことを思うと心が痛んだ。
 私の気持ちが沈んでいると、アルフレッドに伝わったのだろうか。そっと肩を抱かれた。

「嫁と赤ん坊を守るのが自分の役目だと、レスターは笑ってましたよ」
「ふふっ、レスターさんらしいわ。本当に、頼りになる人よね」
「……私も、彼と同じ立場なら、ここに残ったでしょう」
「そうなの?」
< 186 / 194 >

この作品をシェア

pagetop