恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 胸の柔らかいところにキスの痕をつけられると、もどかしさにどうにかなりそうで、言葉を飲み込むしか出来なくなる。

「声を聞きたいんです。リリーの素直な声を」
「やだっ……恥ずかしぃ……あぁっ、聞かれたら……」
「大丈夫です。防音魔法はしっかり張っています。だから──!?」

 穏やかな声とともに右胸へ熱い息がかかった瞬間、その頂きに唇が触れた。
 熱い口の中で、敏感な頂きが柔らかな舌先に撫でられ、その度に甘い痺れが背中を走り抜けた。

「んんっ……あっ、まっ……ああっ」

 左胸を大きな手が多い、優しく撫でる。その指は、かすめるような優しい動きしかしない。大切なガラス細工に触れるように、そっと触れるだけ。なのに、右胸に与えられるキスは熱くて、どうしようもない。
 どれくらいそうしていただろう。

「や、だ……アル……アルフレッド……」

 名前を呼ぶと、一度強く吸うようにして、唇は名残惜しそうに離れた。

「嫌なら、どうしたいんですか?」
「……どうって」
「いいましたよね。リリーから求めるまで、私は待つと」
< 189 / 194 >

この作品をシェア

pagetop