恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 思い出したくない二人の逢瀬が脳裏に蘇る。
 なんで一緒に来たの?
 
 オーランド伯爵家はロスリーヴ侯爵家と特に親しい間柄ではない。まして、ダイアナは男爵家の娘よ。そう簡単に約束もなく侯爵家を訪れるだなんて、礼儀がなっていないにもほどがあるわ。

 憤りを感じながら、胸の奥に芽生えたのは些細な予感。それが、小さな胸を重くしていく。

「リリー、大丈夫? 顔色が悪いわよ。……やはり、礼儀がなっていないのですから、日を改めてもらいましょう」

 心配そうに私の顔を覗き込んだお姉様は、アルフレッドにそう告げた。だけど、その直後に廊下が騒がしくなった。

「……屋敷に上げたのですか?」
「先ほど、旦那様もお戻りになりました」
「旦那様がリリーの婚約者殿と会っているの!?」
「はい、ご対応をされています」

 理解しがたいと言わんばかりに、スカーレットお姉様は笑顔を消され、私の手を離すと静かに立ち上がった。
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