恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 あぁ、涙が止まらない。
 こんな顔を見たら、周りからどう思われるのかしら。

 涙をハンカチで押さえながら図書館の外へ飛び出し、建物の裏へと回った。
 植え込みで隠れるベンチに座り、両手で顔を覆った。

 どうしてこんなことになってしまったの?

 自問自答を繰り返していると、人の気配が近づいてきた。
 どうしよう。今は誰にも姿を見られたくない。お願いだから、来ないでと祈りながらその場で体を丸めれば、コツッと足音が響いた。

 そっと様子を窺うと、よく磨かれた革靴が視界に入った。

「リリーステラ様、こちらにおられましたか」
「……アルフレッド?」

 顔を上げると、青みがかった銀の髪を揺らした私の従者アルフレッドが優しく微笑んだ。

 私を見たアルフレッドの顔が、少し曇った。

 まさか木陰で縮こまっているところを見つかるとは思っていなかったわ。
 みっともない姿を見せてしまったことに、恥ずかしさが込み上げてくる。
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