恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「祖母であるヴァネッサ様が、今は女辺境伯として屋敷を仕切っていると聞いているが、そうなのか?」
「その通りです。私はリリーステラ様が学園を卒業する時、ちょうど二十三です。亡き叔父と変わらぬ歳となります。それもあり、祖母は喜んで申し出を受けてくれました」

 私が養子になりたいといった時、祖母も初めは反対をした。だが、リリーステラ様への思いを打ち明けると、涙を流してわかってくれた。
 大切な人との幸せを手に入れられなかった者同士、上手くやっていけるだろうという笑顔が酷く寂しそうだった。

 それに、私の手を握り「できることなら、リリーステラ嬢と二人、迎えたいわね」といってくれた。叶わない夢を願ってくれたことが、一つの支えになった。
 優しい祖母を、私のワガママで裏切るわけにはいかない。

「私は、リリーステラ様の幸せを願っています。ですが、クラレンス辺境伯領は厳しい土地です。そのようなところにお連れするのは……」

 言葉を濁したのは、心のどこかにリリーステラ様を連れ去りたいという気持ちがあるからだろう。
 できることなら傍にいたい。あの方を幸せにするのが自分であったらと、願ってやまない。だが……
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