恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 脳裏で私とダイアナを比べながら、胸の内で「私には魅力がないのかしら?」と繰り返す。

 そう聞いたら、アルフレッドはどう答えるだろう。

「脈が少し早いですね」
 
 立ち上がったアルフレッドはさらに、首筋、頬、額と大きな手で優しく触れてくれる。

 熱を出したとき、体調が優れない夜、そうしていつも気遣ってくれていたことを思い出す。それがよけいに、私の涙を誘った。

「微熱もあるようですね。お屋敷を出る時、体調に気付けず申し訳ありませんでした」
「……アルフレッド……あのね……」
 
 私の婚約者には、好きな人がいるみたい。

 言いかけて、そんなことを話しても、アルフレッドを困らせるだけだと思い止まった。

「はい、リリーステラ様」
「……屋敷に、戻ります」
「かしこまりました」
 
 こんな顔、誰にも見られたくない。
 立ち上がって俯きハンカチで目元を押さえていると、アルフレッドが側に歩み寄った。
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