恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 身支度を終えると丁度、アルフレッドが部屋を訪れた。

 紺色の礼服は、銀糸で襟や袖に美しい刺繍が施されている。その胸元には、ピンクのバラが添えられていた。
 それはまるで、私の髪に飾られたバラとそっくりだ。

「リリー、よく似合っていますよ」

 相変わらず丁寧な口調が変わらないアルフレッドだけど、その朗らかな微笑みは一ヶ月前とちょっと違う。

 なんていうのかな、キラキラ輝いて見えるのよね。
 輝く微笑みを見ていると頬が熱くなってくる。それに気付かれたくなくて、ついっと視線をそらした。

「アルフレッドも素敵よ。バラのコサージュも似合ってるわ」

 照れ隠しにいえば、アルフレッドは小さく、ふふっと笑った。
 私、そんな変なこといったかしら?

「気に入ってくれましたか」
「……え?」

 大きな手が近づき、そっと髪に触れる。

「この髪飾り、コサージュと揃えて作らせたものですよ」
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