恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 優しい微笑みを向けられた瞬間、鼓動が跳ねた。
 似ているどころの話じゃなかったわ。

 意図して揃えたって、まるで、結婚指輪みたいじゃない。

 左の薬指に輝く、バラの刻印が刻まれた指輪にそっと触れると、なおさら恥ずかしさが込み上げてくる。

「アルフレッドって、お洒落だったのね」
「そうでしょうか?」
「ええ、凄くセンスがいいわ」

 照れ隠しに笑いながら褒めると、アルフレッドの顔が華やいだ。
 こんな笑顔も、ロスリーヴ侯爵様のお屋敷やウォード家では見られなかったわ。
 いつも変わらず静かな従者だった姿を思い出す。

 ビシッとスーツに身を包んで、真っ白な手袋を常につけていた。それこそ、幼いときに出会った時からずっとよ。

「リリーに相応しくあるためなら、努力を惜しみません」
「……私に? 十分すぎるほど素敵よ」

 むしろ、このままでは私が釣り合わなくなってしまうかもしれない。

 一抹の不安が胸をよぎった。
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