妹ばかり見ている婚約者はもういりません
「お父様、お母様、フェリーチェはどうなったのですか? ルドヴィク様は私よりフェリーチェを気に入っていたようですけれど、二人は結局婚約したのですか?」
「あ、ああ。ルドヴィク君とフェリーチェが一緒にいるところは随分多くの者に見られていたようだから……。本当は長女の婚約者を次女に替えるなんて、私達もしたくなかったんだ。わかってくれるよな、ジュスティーナ」
「ええ。それは全く構いませんけれど」
後ろめたそうにそう言われたので頷くと、お父様はあからさまにほっとした顔になる。
私としてはルドヴィク様の新しい婚約者が誰であろうと全く構わなかった。
「体裁を守るために仕方なく、仕方なくだぞ。二人の婚約を認め、ルドヴィク君に婿に来てもらうことになったんだ。なぜかフェリーチェは最近になって不満そうにしているが、婚約を続行するように言いつけている」
お父様は難しい顔でそう説明した。
フェリーチェが不満そうにし始めた時期とは、おそらく二回目のダンスパーティーの後のことだろう。
あの時の様子ではすぐにでもお互いから離れたいように見えたけれど、この先大丈夫なのだろうかと、他人事のように考える。
それから、しばらく話をして、ローレ家を後にすることにした。
満面の笑みの両親に見送られて屋敷を出ると、どっと疲れが襲ってくる。
「つ……疲れましたわ……」
「お疲れ様、ジュスティーナ嬢。ご両親が怒っていなくてよかったな」
私がふらついて馬車に寄りかかると、ラウロ様はくすくす笑いながら言った。
「ええ、ああいう反応は予想しておりませんでしたわ。……あの、ラウロ様。両親が色々と失礼なことを申し上げてすみませんでした……」
「いや。お怒りだろうと思っていたからむしろ安心したよ」
ラウロ様は笑顔のままでそう言ってくれる。
うんざりされてはいないかと不安だったので、その反応に少しだけほっとした。
それからラウロ様が手を引いてくれたので、馬車に乗るために扉に近づく。
すると、突然後ろから甲高い声が聞こえてきた。
「お姉様っ!」
声の聞こえたほうに視線を向けると、そこにはこちらを睨みつけるフェリーチェが立っていた。
「フェリーチェ、どうしたの?」
「どうしたのじゃないですわ! そこの男!! ラウロ・ヴァレーリが第三王子ってどういうことなんですの!?」
フェリーチェは目を吊り上げて、怒った声で言う。
「ちょっと、大きな声で言わないでちょうだい! まだ公にされてないんだから!!」
「納得いきませんわ。どうしてお姉様が第三王子と……! 私なんて、お姉様のせいでルドヴィク様と結婚する羽目になったのですわよ!?」
「ルドヴィク様と結婚したがっていたのはフェリーチェじゃない」
家を出る前のフェリーチェの行動を思い浮かべる。
ルドヴィク様の方はもちろん、フェリーチェの態度にだってルドヴィク様への好意がはっきり現れていた。
今は仲が拗れて嫌になったにしろ、ルドヴィク様と結婚することになった原因は間違いなくフェリーチェにある。
しかしフェリーチェはいまいましそうに私を見て言う。
「あ、ああ。ルドヴィク君とフェリーチェが一緒にいるところは随分多くの者に見られていたようだから……。本当は長女の婚約者を次女に替えるなんて、私達もしたくなかったんだ。わかってくれるよな、ジュスティーナ」
「ええ。それは全く構いませんけれど」
後ろめたそうにそう言われたので頷くと、お父様はあからさまにほっとした顔になる。
私としてはルドヴィク様の新しい婚約者が誰であろうと全く構わなかった。
「体裁を守るために仕方なく、仕方なくだぞ。二人の婚約を認め、ルドヴィク君に婿に来てもらうことになったんだ。なぜかフェリーチェは最近になって不満そうにしているが、婚約を続行するように言いつけている」
お父様は難しい顔でそう説明した。
フェリーチェが不満そうにし始めた時期とは、おそらく二回目のダンスパーティーの後のことだろう。
あの時の様子ではすぐにでもお互いから離れたいように見えたけれど、この先大丈夫なのだろうかと、他人事のように考える。
それから、しばらく話をして、ローレ家を後にすることにした。
満面の笑みの両親に見送られて屋敷を出ると、どっと疲れが襲ってくる。
「つ……疲れましたわ……」
「お疲れ様、ジュスティーナ嬢。ご両親が怒っていなくてよかったな」
私がふらついて馬車に寄りかかると、ラウロ様はくすくす笑いながら言った。
「ええ、ああいう反応は予想しておりませんでしたわ。……あの、ラウロ様。両親が色々と失礼なことを申し上げてすみませんでした……」
「いや。お怒りだろうと思っていたからむしろ安心したよ」
ラウロ様は笑顔のままでそう言ってくれる。
うんざりされてはいないかと不安だったので、その反応に少しだけほっとした。
それからラウロ様が手を引いてくれたので、馬車に乗るために扉に近づく。
すると、突然後ろから甲高い声が聞こえてきた。
「お姉様っ!」
声の聞こえたほうに視線を向けると、そこにはこちらを睨みつけるフェリーチェが立っていた。
「フェリーチェ、どうしたの?」
「どうしたのじゃないですわ! そこの男!! ラウロ・ヴァレーリが第三王子ってどういうことなんですの!?」
フェリーチェは目を吊り上げて、怒った声で言う。
「ちょっと、大きな声で言わないでちょうだい! まだ公にされてないんだから!!」
「納得いきませんわ。どうしてお姉様が第三王子と……! 私なんて、お姉様のせいでルドヴィク様と結婚する羽目になったのですわよ!?」
「ルドヴィク様と結婚したがっていたのはフェリーチェじゃない」
家を出る前のフェリーチェの行動を思い浮かべる。
ルドヴィク様の方はもちろん、フェリーチェの態度にだってルドヴィク様への好意がはっきり現れていた。
今は仲が拗れて嫌になったにしろ、ルドヴィク様と結婚することになった原因は間違いなくフェリーチェにある。
しかしフェリーチェはいまいましそうに私を見て言う。