妹ばかり見ている婚約者はもういりません
***
それから数日が経ったけれど、私は変わらずラウロ様のお屋敷で暮らさせてもらっている。
ローレの屋敷に戻ろうかとも思ったけれど、何気なくそれを口にしたらラウロ様に焦った顔で引き止められてしまったのだ。
なので、これでいいのかなとは思いつつ、ローレの家から必要な荷物だけ持ってきて、これまで通りラウロ様のお屋敷に置いてもらっている。
ラウロ様によると、国王様はラウロ様が王族の役目を果たすなら、学園卒業後もこの屋敷に住み続けてもいいと言っているらしい。
王宮に戻るように言っていたのにどうして急に許してくれたかといえば、ラウロ様が今まで呪いを解くためにしてきた植物の研究が、呪い以外のことにも随分有用だと気づいたからなのだそうだ。
薬草を調べたり、作物の研究をしたり、植物関係の呪いについての対策を立てたり。
王子として公務だけをさせるよりも、そちらの分野でも仕事をさせた方が国のためになるとのご判断だとか。そして大きな温室とお庭のあるこのお屋敷は、そういったことをするのに最適だと判断されたみたいだ。
また、国王様は「ジュスティーナ嬢の魔法を活かすにもちょうどいいだろう」とも話していたという。
つまり、国王様も私がこのままこのお屋敷で暮らすのを許してくれているようなのだ。
「なんだか夢みたいですわ。この楽園のようなお屋敷でずっと暮らさせてもらえるなんて……!」
「楽園みたいか? 大抵の人は幽霊屋敷だと言うけどな」
私が感動しながら言うと、ラウロ様はおかしそうに言う。
「私にとって植物のたくさんある場所は楽園なのです!」
「ジュスティーナ嬢らしいな」
私が力強く言うと、ラウロ様はさらに笑った。
本当にこのお屋敷は私にとって楽園のような場所だった。たくさんの植物があって、優しい使用人さんがいて、何よりラウロ様のいる場所だから。
そういえば、学園ではルドヴィク様が何度か会いに来た。
以前はっきり断ったはずなのに、未だに彼は私を妾にしてティローネ家の後継に戻ることを諦めていないみたいだ。
私の教室までやって来たり、玄関ホールで待ち伏せしたりして、しつこく言い募ってくる。
「ジュスティーナ、俺が間違ってたよ。フェリーチェに惑わされた俺が馬鹿だった。今度は必ず君を大切にすると約束するから戻って来てくれ。もう妾なんて言わないから。正式な結婚は出来なくても、君一人を妻にすると誓おう」
そんなことを真剣な顔で言ってくるものだから嫌になる。
私はうんざりする気持ちを押し込めて、ルドヴィク様に向かって笑顔で言った。
「貴族の結婚でそれは難しいと思いますわよ。何を言われても私の気持ちが揺らぐことはありませんから、もう諦めてくださいませんこと?」
「ジュスティーナ、いいかげん素直になれよ。お前はずっと俺が好きだったはずだろう?」
ルドヴィク様は哀れむような顔で言う。
今までの私の態度を見てどうしてまだ希望があると思えるのだろう。
大体、私は政略結婚の相手だから仲良くなれないのが悲しかっただけで、ルドヴィク様を好きだったわけではない。
「申し訳ありませんけれど、私はこの先もラウロ様一筋でいるつもりですの。もう私のことは放っておいてくださいませ!」
「あっ、おい、ジュスティーナ!」
ルドヴィク様は私の手を掴もうと手を伸ばして来たけれど、振り切って逃げてきた。後ろではまだ彼の喚く声がする。
どうか早めに諦めて、潔くフェリーチェと結婚してローレ家を継ぐ覚悟を決めて欲しい。
それから数日が経ったけれど、私は変わらずラウロ様のお屋敷で暮らさせてもらっている。
ローレの屋敷に戻ろうかとも思ったけれど、何気なくそれを口にしたらラウロ様に焦った顔で引き止められてしまったのだ。
なので、これでいいのかなとは思いつつ、ローレの家から必要な荷物だけ持ってきて、これまで通りラウロ様のお屋敷に置いてもらっている。
ラウロ様によると、国王様はラウロ様が王族の役目を果たすなら、学園卒業後もこの屋敷に住み続けてもいいと言っているらしい。
王宮に戻るように言っていたのにどうして急に許してくれたかといえば、ラウロ様が今まで呪いを解くためにしてきた植物の研究が、呪い以外のことにも随分有用だと気づいたからなのだそうだ。
薬草を調べたり、作物の研究をしたり、植物関係の呪いについての対策を立てたり。
王子として公務だけをさせるよりも、そちらの分野でも仕事をさせた方が国のためになるとのご判断だとか。そして大きな温室とお庭のあるこのお屋敷は、そういったことをするのに最適だと判断されたみたいだ。
また、国王様は「ジュスティーナ嬢の魔法を活かすにもちょうどいいだろう」とも話していたという。
つまり、国王様も私がこのままこのお屋敷で暮らすのを許してくれているようなのだ。
「なんだか夢みたいですわ。この楽園のようなお屋敷でずっと暮らさせてもらえるなんて……!」
「楽園みたいか? 大抵の人は幽霊屋敷だと言うけどな」
私が感動しながら言うと、ラウロ様はおかしそうに言う。
「私にとって植物のたくさんある場所は楽園なのです!」
「ジュスティーナ嬢らしいな」
私が力強く言うと、ラウロ様はさらに笑った。
本当にこのお屋敷は私にとって楽園のような場所だった。たくさんの植物があって、優しい使用人さんがいて、何よりラウロ様のいる場所だから。
そういえば、学園ではルドヴィク様が何度か会いに来た。
以前はっきり断ったはずなのに、未だに彼は私を妾にしてティローネ家の後継に戻ることを諦めていないみたいだ。
私の教室までやって来たり、玄関ホールで待ち伏せしたりして、しつこく言い募ってくる。
「ジュスティーナ、俺が間違ってたよ。フェリーチェに惑わされた俺が馬鹿だった。今度は必ず君を大切にすると約束するから戻って来てくれ。もう妾なんて言わないから。正式な結婚は出来なくても、君一人を妻にすると誓おう」
そんなことを真剣な顔で言ってくるものだから嫌になる。
私はうんざりする気持ちを押し込めて、ルドヴィク様に向かって笑顔で言った。
「貴族の結婚でそれは難しいと思いますわよ。何を言われても私の気持ちが揺らぐことはありませんから、もう諦めてくださいませんこと?」
「ジュスティーナ、いいかげん素直になれよ。お前はずっと俺が好きだったはずだろう?」
ルドヴィク様は哀れむような顔で言う。
今までの私の態度を見てどうしてまだ希望があると思えるのだろう。
大体、私は政略結婚の相手だから仲良くなれないのが悲しかっただけで、ルドヴィク様を好きだったわけではない。
「申し訳ありませんけれど、私はこの先もラウロ様一筋でいるつもりですの。もう私のことは放っておいてくださいませ!」
「あっ、おい、ジュスティーナ!」
ルドヴィク様は私の手を掴もうと手を伸ばして来たけれど、振り切って逃げてきた。後ろではまだ彼の喚く声がする。
どうか早めに諦めて、潔くフェリーチェと結婚してローレ家を継ぐ覚悟を決めて欲しい。