妹ばかり見ている婚約者はもういりません
「ジュスティーナ嬢、またそわそわしているが、まさか昨日呪いを解いたことで君に何か悪影響が出たんじゃ……」
「いいえ、全くそんなことはありませんわ! ラウロ様、それより早く教室に行きましょう!」
私は訝しげな顔をするラウロ様の腕を掴み、玄関ホールまで引っ張って行く。
ここにいるのはまずい。
あの子たちがラウロ様に声をかけてきたら困る。
どうにかラウロ様が彼女たちの熱い視線に気づかないうちに、校舎の中まで引っ張っていかなければ……!
そんな自分勝手なことを考えながら早足で歩いていると、後ろから可愛らしい声が飛んできた。
「あのっ、あなたはラウロ・ヴァレーリ様ですよね……?」
さすがに無視するわけには行かず足を止めると、そこには髪をツインテールにした小柄な女の子が立っていた。
可愛らしい子だった。少しフェリーチェに似ている。彼女は潤んだ目でラウロ様を見上げながら、緊張したように尋ねている。
「ああ、そうだが……」
「やっぱり! 急にお顔の痣がなくなったのでびっくりしてしまいましたわ! ラウロ様ってとってもかっこよかったんですね!」
女の子は両手を合わせ、はしゃいだ様子で言う。
対するラウロ様は、少し困惑している様子だった。一人が話しかけると、ほかの子たちもハードルが下がったのか、次々にラウロ様の元へやって来る。
「ラウロ様、とっても素敵になりましたわ! つい見惚れてしまいました」
「ねぇ、ラウロ様、私のことわかります? 中等部で一緒のクラスだったのですけれど」
「痣は一体どうしたんです? 何かいいお薬でも見つかったのですか?」
彼女たちはラウロ様を囲み、次々と質問を浴びせている。
私は彼女たちの勢いに押しのけられてしまい、少し離れたところからその様子を見るしかなかった。
女の子たちに囲まれたラウロ様は眉間に皺を寄せ、どうしたらいいのかわからないという顔をしている。
(なんなの……! この子たち、つい最近までラウロ様のことを悪魔だのなんだの言っていたくせに……!)
彼女たちには見覚えがあった。私がラウロ様と歩いているとき、ひそひそと陰口を言ってきた子たちだ。
痣がなくなったからと言って、急に手のひらを返すなんて。
私が納得いかない思いでその様子を見ていると、先ほどのツインテールの少女が口を開く。
「ねぇ、ラウロ様。よかったら教室まで私たちと一緒に行きませんこと? 色々お話ししたいですわ」
彼女の言葉に、つい顔が引きつってしまった。
私が先ほどまで隣にいたのを気づかなかったわけはないだろう。そもそも、この子たちはここ最近ずっと私がラウロ様と一緒に登校していたのを見ているはずだ。
ちらりとツインテールの少女を見ると、彼女もこちらを見て、勝ち誇ったような顔をしていた。
私はむかむかしてしまい、気持ちを抑えるためにぎゅっと手を握りしめる。
「どいてくれないか。君たちと話すことはない」
その時、ざわめきを打ち消すような低い声が聞こえた。見ると、ラウロ様がこれまで見たこともないような冷たい目で、女の子たちを見下ろしている。
固まる彼女たちの間をかき分けて、ラウロ様が私の前に来た。
「ジュスティーナ嬢、待たせて悪かった。教室に行こうか」
「え、あ、はい……」
ラウロ様は優しい目でこちらを見ると、女の子たちのほうを振り向きもせず歩き出す。私も慌てて後を追った。
「いいえ、全くそんなことはありませんわ! ラウロ様、それより早く教室に行きましょう!」
私は訝しげな顔をするラウロ様の腕を掴み、玄関ホールまで引っ張って行く。
ここにいるのはまずい。
あの子たちがラウロ様に声をかけてきたら困る。
どうにかラウロ様が彼女たちの熱い視線に気づかないうちに、校舎の中まで引っ張っていかなければ……!
そんな自分勝手なことを考えながら早足で歩いていると、後ろから可愛らしい声が飛んできた。
「あのっ、あなたはラウロ・ヴァレーリ様ですよね……?」
さすがに無視するわけには行かず足を止めると、そこには髪をツインテールにした小柄な女の子が立っていた。
可愛らしい子だった。少しフェリーチェに似ている。彼女は潤んだ目でラウロ様を見上げながら、緊張したように尋ねている。
「ああ、そうだが……」
「やっぱり! 急にお顔の痣がなくなったのでびっくりしてしまいましたわ! ラウロ様ってとってもかっこよかったんですね!」
女の子は両手を合わせ、はしゃいだ様子で言う。
対するラウロ様は、少し困惑している様子だった。一人が話しかけると、ほかの子たちもハードルが下がったのか、次々にラウロ様の元へやって来る。
「ラウロ様、とっても素敵になりましたわ! つい見惚れてしまいました」
「ねぇ、ラウロ様、私のことわかります? 中等部で一緒のクラスだったのですけれど」
「痣は一体どうしたんです? 何かいいお薬でも見つかったのですか?」
彼女たちはラウロ様を囲み、次々と質問を浴びせている。
私は彼女たちの勢いに押しのけられてしまい、少し離れたところからその様子を見るしかなかった。
女の子たちに囲まれたラウロ様は眉間に皺を寄せ、どうしたらいいのかわからないという顔をしている。
(なんなの……! この子たち、つい最近までラウロ様のことを悪魔だのなんだの言っていたくせに……!)
彼女たちには見覚えがあった。私がラウロ様と歩いているとき、ひそひそと陰口を言ってきた子たちだ。
痣がなくなったからと言って、急に手のひらを返すなんて。
私が納得いかない思いでその様子を見ていると、先ほどのツインテールの少女が口を開く。
「ねぇ、ラウロ様。よかったら教室まで私たちと一緒に行きませんこと? 色々お話ししたいですわ」
彼女の言葉に、つい顔が引きつってしまった。
私が先ほどまで隣にいたのを気づかなかったわけはないだろう。そもそも、この子たちはここ最近ずっと私がラウロ様と一緒に登校していたのを見ているはずだ。
ちらりとツインテールの少女を見ると、彼女もこちらを見て、勝ち誇ったような顔をしていた。
私はむかむかしてしまい、気持ちを抑えるためにぎゅっと手を握りしめる。
「どいてくれないか。君たちと話すことはない」
その時、ざわめきを打ち消すような低い声が聞こえた。見ると、ラウロ様がこれまで見たこともないような冷たい目で、女の子たちを見下ろしている。
固まる彼女たちの間をかき分けて、ラウロ様が私の前に来た。
「ジュスティーナ嬢、待たせて悪かった。教室に行こうか」
「え、あ、はい……」
ラウロ様は優しい目でこちらを見ると、女の子たちのほうを振り向きもせず歩き出す。私も慌てて後を追った。