座敷牢令嬢は今日も謎を解く

キヨの言葉を無視して退室しようと思ったのだけれど、最終的には『怪文書の謎が解けなくてもいいの？』と言われて、つい承諾してしまった。
「うぅ……若旦那様の部屋に無断で入るなんて」

情けない声で独り言を呟いたトミは今、腰下のエプロンをつけてほっかむりをすっぽりと被っている。
ホコリ避けのためのほっかむりはまるで泥棒の風呂敷みたいに顔の半分以上を多い、トミの顔をかくしていた。

右手にホウキ、左手に雑巾の入ったバケツを思ったトミが周囲を気にしながらそろそろと秀雄の部屋へ近づいていく。
そのぎくしゃくとした動きを見れば誰かに咎められるところだけれど、幸いこの周辺に人はいなかった。